2015年05月03日

ゴールデンウィーク〜怒りのタイヤ物語 その@〜

毎年
本当に気持ちの良い
ゴールデンウィークですね。
皆様いかがお過ごしでしょう。

我が家は、
金曜日に初の
「(長女の)
お友達がお泊りに来る」
に挑戦。

子供おおはしゃぎです。

夕食はお好み焼きを作り
たくさん遊んで
お友達と長女次女で
キャッキャ言いながら
お風呂に入り
ベッドでは長いこと
コソコソくすくすしていましたが
特別に夜更かしを大目に見つつ
楽しく賑やかな一夜を過ごしました。

次の日は朝ごはんを食べたら
少し離れた場所にある
普段行かない大きな公園に
行くことにしました。

そこは広大な公園の中に
様々な大きな遊具があり
子供が大好きな
「ターザンみたいにロープ持って
シューって行くやつ」の
豪華バージョンもあるのです。

この
「普段あまり行かない
でっかい公園」
というキーワードは
子供のテンションが
異常に上がります。

途中近所のスーパーで
お菓子バイキングをして
各自おやつと飲み物、
パン屋さんでは好きなパンも
それぞれ選び、もう全員
ウキウキわくわくテカテカで
意味なく奇声を発したり
ピョンピョン跳んだり
テンションマックスです。

しかし車に乗ろうとしたら
ガソリンがあまりない。
あらら。
しかも花粉やらで結構汚れていたので
せっかくのゴールデンウィーク初日、
気持ちよくキレイな車で行きたいね、と
行く途中の
ガソリンスタンドに寄ったのです。

そこは持ち込みOKの
カフェスペースと
ちょっとしたキッズスペースも
あるので、車を預けた後
子供たちは
お菓子を食べたり遊びながら
洗車が終わるのを待っていました。

担当の店員さんも
とても感じの良い人で
子供たちにも
優しく話しかけてくれ
いい感じだったのですが、

30分くらいすると
神妙な顔をした担当店員さんが来て
「今タイヤ見させてもらってたんですけど
 ちょっと来てくれますか?」
というではありませんか。

なんだなんだ、と見に行くと
右の前輪タイヤを指し
「このタイヤ、中でワイヤーが切れてます。
 このまま走ってるとホイールから
 はがれてバーストしちゃいますよ」
と衝撃の言葉。

私は素人なんで車のことは
何にもわかりませんが
説明を要約すると
タイヤというのは中にワイヤーが入っていて
そのワイヤーによって丸くしているが
それが切れると
高速などを走ってどんどん空気圧が高まると
タイヤの形状を保てずパンクする、
みたいなことだったと思います。

「ここ触ってみてください」と
言われるところを触ると
確かに一部分だけ膨らみと凹みが。
「ここが切れている部分です。
 ゴールデンウィーク
 高速乗る予定ありますか?」

あ、あるかもしれない(震)

「この状態で高速走ると
 早い段階でバーストしちゃいますよ。
 すぐにタイヤ交換することを
 おススメします。」

やばかったー

今からも
ちょっと遠いところ行くし
何より人様の娘さん預かってる時に
事故でもしたら大変!!

ほんま命の恩人やで!

「しかもこのタイヤ
 空気が全然入ってませんよ!」

苦笑しつつも
空気圧の調整までしてくれ
そうなんですか
いやあ無知なもんでお恥ずかしい、
なんて言いながら見守る。

そしてテキパキと
我が家の車に合うタイヤの
提案をしてくれる店員Mさん。

なるほど、
ブリジストンのタイヤね、
価格は
4本で12万円。

しかも洗車代はオマケして
くれるとのこと!!

わー

高い!

ゴールデンウィーク初日

まだどこにも行ってないのに

12万の支出。

家から5分走っただけで
12万。

正直洗車のオマケは
この際どうでもいい金額。

まあでもね、
これで安全が買えるなら
安い物だわ!

でも、
ワイヤー切れてるのは
前の1本だけなんだから
とりあえず前輪2本交換で
いいんじゃないの?

1月に車検した時も
タイヤはまだ当分大丈夫って
言われましたけど。

「いやここが切れてるってことは
 すぐ他の3本もなりますよ(笑」

なるほど!
そういうのはほんとわからないので
勝手なこと言ってすみません。

そりゃ半笑いにもなりますよね。

しかも今そのタイヤの在庫が
ちょうど4本しかなくて?
これを逃したら取り寄せになる?
今ならすぐ確保してくれるって?
それはありがたい。

ではお願いします!!

でも
ちょっとだけ待ってくださいね
今のその半笑いと
諸々の説明で
私の中になんか
不信感が芽生えてきたので
まずはその解消を
させてもらいますね。

「ちょっと電話してきます」

遊んでいる子供たちを見ながら
入口の前に出て
近所のタ〇ヤ館に電話。

ガソリンスタンドで
こんな説明を受けて
今すぐタイヤ交換をすることを
勧められているのですが、
まずこのワイヤーが切れるって
どういうことなんでしょう?
そして4本交換するのが
妥当なんでしょうか?
さらに参考までに
そちらで交換した場合の
金額も教えてください。

タ〇ヤ館のIさんは
若い感じで
率直にわかりやすく
話してくれる良い方で
うちの車種とタイヤのことを
いくつか質問されてから
こう説明してくれました。

「中のワイヤーが
 切れるっていうのは、
 あまりないですが
 タイヤに強い衝撃を受けた場合
 たまに起こりますね。
 でも多分その車種に
 ついているタイヤだと
 膨らみはワイヤーと
 ワイヤーの接合部分の
 膨らみですので、
 おそらく切れているわけでは
 ないと思いますよ。
 それに仮に本当にワイヤーが
 切れているとしても
 4本同時期になることはまずないので
 全部のタイヤ交換を勧めることは
 うちではまずないです。
 ただ本当に切れていた場合
 バーストの危険性などはありますので
 ご心配ならこちらで一度見ますので
 いらしてください。」

ふんふん、なるほど…

このIさんは
タイヤの値段を調べる時も
うーんうーんと少しでも安く
合うものを色々考えてくれたので
私の中で信用度アップ。
*でも結局うちの車には
 Mが勧めたタイヤが
 最適なようで値段は
 一緒くらいでした

入口の外に立ち
熱心に話を聞いていると
横から値引き交渉のメモが
スッと出て来て
いつの間にか
洗車込みで
11万3000円まで下がっていた。

しかしまずは
セカンドオピニオンだ。

今からタ〇ヤ館に
行く約束をして電話を切り
スタンドの店員Mさんに
教えてくれたお礼と
ちょっと子供たちも待てないので
一度引き上げる旨を伝えて
店を出る。

そして15分後タ〇ヤ館へ。
駐車場に入るとすでに
茶髪細身マスク
ポケットに手を入れて
クールに立って
出迎えてくれている
若いお兄さんがいる。

Iさんだ。

さっきの優良スマイルの店員さんと
比べたら見た目の信用度は
正直下がるはずなのに
駐車しているそばから
しゃがんでタイヤを
熱心に見つめるプロの目に
私の信用度はまた一気にアップ。

そして私が駐車し
ドアを開けて降りると同時に

「切れてませんよ」

「えっ?」

「これですよね、膨らみって」
しゃがんで膨らみを触るIさん。

「これは、他の3本のタイヤにも
 ありますよ、ほら見てください」

1本ずつタイヤごとに移動しては
丁寧に膨らみを教えてくれるIさん。
見た目では全然わからないが
教えられて触ってみると
確かに全てのタイヤに同じくらいの
膨らみと凹みがある。

「それに、ワイヤーが切れてるなら
 ブロックにぶつけたなどの
 衝撃を受けた際の傷が
 残っているはずですけど
 それが全くないですよね。
 このタイヤは4本とも多少
 溝は減ってますけど
 まだまだ大丈夫っすね。」

タイヤの溝を測ってうなずき
立ち上がってにっこり笑うIさん。

「えっ
 多少減ってるのに
 まだ替えなくていいんですか?」

「ま〜、まだ大丈夫っす!」

何この
全く営業かけて来ないパターン!

そっちにパニックの私に

「こんなこと言ったら
 店長にまた『もっと営業しろよ』って
 怒られちゃうんすけど
 自分そういうのあんま興味ないんで(笑)
 少し減ってますけど
 このタイヤいいやつなんですよ。
 この車にはこのタイヤが合うし
 まだまだいけるのにもったいないっすよ。
 自分だったら全然まだ乗っちゃいますね。」

Iさんー!
私が殿様なら家臣にして連れ帰るぞ!
ってほどの信頼度!

そんなIさんがタイヤをじっと見て
「ん?」と言いながら
空気圧を測り出し
「これ空気圧めちゃくちゃっすね」と
言いながら数値を見せてくれた。

そして助手席側にまわり
貼ってあるシールを見せてくれて
「これがこの車の最適空気圧なんすよ」
と説明してくれたが、
確かに計器に出ている現在の数値は
最適値を大きく上回っている。

さっきのガソリンスタンドで
入れてもらったことを説明すると

「この表示見てやってないですね。
 車によって違うことを
 知らないのかもしれません。
 しかも、もしその人が言う通り
 ワイヤーが切れてるとしたら
 空気圧が高いとバーストしやすく
 なっちゃうので本来は
 こんなパンパンに入れずに
 下げなきゃいけないんすけどね(笑」

そう言いながらさっきMに
入れられた空気を抜いて
最適値に調整してくれるIさん。

「これでOKっす。」

ほんとに何も勧めず、取らず
見送ってくれる
Iさんに感激し、
運転席の窓から

「本当にありがとうございました!
 また来ます!
 次から全部ここでお願いします!!」
と全身全霊で叫ぶ私に
「ほんとに何かあった時でいっすよ(笑」
と会釈するIさん。

もう…
もうこの館に娘を
嫁にもらってくれまいか!

言おうとしたが
あかん!
結婚指輪してはるわー!

じゃあお嫁さんのお父さんに
この人なら大丈夫ですよー!と
握手して言いたいところ!

感謝の気持ちで運転し、
まずは安全なところに停車。

携帯を見つめる。

まあね、Mさんもね
良かれと思って
言ってくれたんだろうね、
危ない!と思ってさ。
それはありがたいと思うわ。

ということでここは穏便に
スタンドにキャンセルの電話。

「先ほどのタイヤの件ですが
 結構ですのですみませんが
 キャンセルしてください〜」

「…そうですか
 でもくれぐれも気をつけてくださいよ
 ワイヤーが切れてるんですから
 危ないですよ」

いや完全に半切れやん!

食い下がるやん!

こうなるとちょっと
一言だけは言いたくなるもので
「申し訳ないけど他のところで
 見てもらって、あの膨らみは
 ワイヤーの接合部分だということで
 確認してもらいましたので大丈夫です。」

するとM、

「え?ワイヤーの接合部分?w
 何ですかそれww
 えっそれどこの店ですか?www
 ちゃんとタイヤの専門の人ですか?ww
 接合部分ってあんな風に膨らんだりは
 しないんですよ。
 悪いですけど僕は
 タイヤの講習をきっちり受けて
 タイヤの勉強をしているので
 今そのタイヤの構造上の資料も
 ここにありますし、
 ご希望でしたらそれを提示しながら
 説明できます。
 あんな明らかにワイヤー切れてるのに
 大丈夫なんて
 ちゃんとタイヤのこと知ってる人なら
 言わないですけどね!
 ほんといつバーストしても
 不思議じゃない状態なんですから!
 信じられないならうちの営業所の
 横にあるタ〇ヤ館××店に
 行ってみてください。
 絶対に僕と同じこと言いますから!」

えっ

何なにこの自信
全く
引きさがらへんやん!

でもちょっと待って
腹立つけど
またちょっと不安になってきた。
Mも一応タイヤのプロなの?
そんなに
「明らかに切れている」って
言い切れて引き下がらないほど
自信持ってるの?

真逆の意見が
1対1。

しかも自分には
よくわからないこと。

今のところ
信用度は完全にIさんだし、
Iさんだけを信じたいが
ここまでMに自分もプロだ!と
自信を持って強く言われると
元々わからないことなので
本当に大丈夫なの?と
不安になる。
何より家族や
預かっているお友達の
命に係わるかもしれない
ことだと思うと
Iさんだけを全面的に信用して
良いのか…

悩んだ結果
これは
もう1軒行くしかない…
と決断。

もう心は不安一色。

ゴールデンウィークに
遠出してパンクしたくない…
今からちょっと遠い公園に
不安なまま子供乗せて
行きたくない…
もうここまで来たら
何よりハッキリさせたい!

あともう一つ意見を聞いて
どちらかはっきりさせるしか
ゴールデンウィークを
不安なしに
楽しむことはできまい!

後部座席から子供たちの

「もうタイヤいやだ!!
 公園まだー!?」


最もなブーイングを受けつつ
「ごめんね!!
 でも大事なことだから!」と
半泣きで説得し
最後の手段だ、
ディーラーだ。

タ〇ヤ館××店は
もう行かん!!
営業所の隣ってことは
繋がってるだろうし
Mと話しているかもしれないし
そこでMと同じこと言われたとしても
結局信じられない気がする。

そして
タ〇ヤ館のIさんも
スタンドのMさんも
様々なタイヤには詳しいだろうが
このメーカーのタイヤを毎日見て
本当に知っているのは
やはりディーラーの整備士さんが
一番だろう。

電話をする。
同じ説明する。
ディーラーの人半笑い。

いや、笑っていた。

1本ワイヤー切れてて
「4本交換、12万」
のところでウケた。

「ふふふ
 多分タ〇ヤ館の人が
 正しいと思いますけど
 ご心配なら見ましょうか」

見せなくても良いような
気がしてきた…

でもまあ…
見て判断してもらわないと
不安を完全に払拭するには
できないよね。

ここから
40分かかるが仕方あるまい…

奥歯を噛みしめているので
会話もあまり弾まず
ちょっと悲壮なドライブ。

一応スピード出ないように
バーストしたら停まれるように
ビクビクしながら運転。

半笑いのディーラーの人
3人がお出迎えしてくれ、
タイヤをチェック。
またも私が車から降りた瞬間

「切れてないですよ(笑」


いや

完全に切れてますよ


私がね。


−−−−−−つづく−−−−−−−
posted by 2丁拳銃・修士の嫁 at 22:19 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月26日

卒、妖怪ウォッチ

たくさんの別れに心潤み、
たくさんの新しさに心踊る、
忙しい季節ですね。

みなさま
ご卒園ご卒業
色々おめでとうございます。

次女も無事
3年間通った幼稚園を
卒園しまして、
長女も次は3年生に。

長女が
大きな赤いランドセルを背負って
玄関でくるっと回って見せてから
嬉しそうに初めての登校をした日は
ついこの間のことに思えます。

なんやったら自分が
初めてランドセル背負って
家の近くのパンダ公園で
友達と順番に花壇の前で
写真を撮ったことさえ
まだしっかり覚えているのに。

もう自分の子供が二人も
小学校へ行くなんて。
嬉しくて寂しくて 懐かしくて
ちょっと恐ろしい速さです。

さて
これは長女の音読カードです。
802.JPG

2年生の間、毎日毎日
家での宿題に音読が出ました。

家で国語の教科書などを
大きな声で読んだら
お家の人がサインする
カードです。

最初はノーマルに
「川谷」と書いていますね。

でも娘がある日
「ね〜絵を描いて〜
お友達は描いてもらってるんだよ〜」
と。
まあじゃあ何か適当に描こうかと。
こんな感じ。

801.JPG

ちょっと色をつけてみたりして

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なんかパパと私の描き合戦になってきて

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だんだん
クラスの子供たちが
楽しみにしてくれるようになり

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ママ友や先生にも
褒められて嬉しくなって

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でも毎日毎日

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結構大変で

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たまにサボってサインだけしてたら
「なんだよ今日は川谷かよ
つまんねーの」と
言ってくれる男子も出てきて
時間を作って後で書き直したり

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弱い妖怪を描いたら
男子たちに
「今日の妖怪カスい」と言われ

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よーし見とけよ!と
強い妖怪を調べたり

789.JPG

やがて
誰かのリクエストがカードの端に
書かれるようになり
めんどくさいけど
それを描いてみたら
「みんな喜んでたよ〜」と
娘が嬉しそうに笑うし
「ふ〜ん、じゃあ次も…」


791.JPG

仕事が忙しくて
なかなか描けず「川谷」が
一列たまってしまった時は
もうダメだ、と思ったけど、
パパが夜中に3時間頑張って

786.JPG

「川谷」を全部消し
絵に書き換えて、
2年生最後の日に
なんとか間に合って
みんなに
「すっげーーー!!」の
言葉をもらうことができました。


みんな、
音読一年間よく頑張ったね!

IMG_8154.jpg

楽しかったわ。
posted by 2丁拳銃・修士の嫁 at 16:43 | TrackBack(0) | 子育て | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月06日

母、の話

毎年
雛祭りが終わった
翌日には
大阪にいる
母に電話をしたくなる。

と言うのも
記憶している中で
母は
私がお嫁に行くまで
おそらく一度も欠かさず
毎年毎年、どんな年も
雛飾りを出し
春らしい料理で
お祝いをしてくれたので

今さらながら
年に一度とはいえ
途切れない継続の
その意味が身に沁みてきて、
子供を寝かした
3月3日の夜には
静かに並ぶ雛飾りを
見ながら色々考え
「明日、電話しよう」
と、思うのだ。

そして
電話をすると
いまだに
「今年もお雛様飾ったよ」

言う母に、
健康で長生きしてほしい
と思うし
私も
健康で長生きしよう、
と、痛感する。


今日は
そんな母のことを
書こうと思う。

母はもう70過ぎの
おばあちゃんだが
背筋や歩く姿は
ピシッとしていて、
いつもなんでも
ピシッとアイロン、
着物とお裁縫は
人に教えられるくらい
好き。
そんな
日本のお母さんだ。


あれは私が
小学生高学年の時。

女子のほとんどが
チェッカーズのフミヤ様の
甘い声とステップに
体中から真っ赤なハートを
ふき出していた頃。

やがて時代ごと
光GENJIという強烈な熱気に
教室中の女子が渦巻き
飲みこまれて行くのだが、
私は
その光る渦に憧れつつも
どっぷり入ることも出来ず、
気がつけば
バービーボーイズの
杏子さんとKONTAさんが
繰り広げる
大人の駆け引きと、
C-C-Bの関口誠さんの低音部分に
夢中になってしまい、
周りの女子と
全くかぶらない下敷きを持ち、
同じく光の渦に入れない
立浪選手の下敷きを持った子と
互いに一方通行の会話を
したりしていた。

*当時は透明の下敷きに
 好きなアイドルなどの
 雑誌の切り抜きを
 挟むのが流行っていた。

特にバービーボーイズの
いまみちともたかさんの書く、
大人の恋愛をうっかり
床にぶちまけたところを
偶然見てしまったような、
なんともいえない
気持ちになる歌詞に
とにかく
ドキドキしていたのだった。

今やその名曲たちも
RGと鬼奴さんボーカルで
脳内再生されつつありますが…

まあそんな
それぞれが
色んなことや
人に
夢中になってしまう
多感な頃。

あ〜
生でこの人たちの声を
聴いてみたいな〜、
などと思っていた私に
ある日
きっちりした母が
「気持ちわかるわ…」と
言って来たのだ。

母も昔、
テレビで見た
ある人のことが
好きで好きで
会いたくて会いたくて
お金を貯めて会いに行った
ことがある、と。

私はその頃
ちょっとした反抗期だったのだが、
少し恥らいながら
初めて聞く話をする母に
急激な親近感を覚えた。
「えっ、そうなん?
 お母さんにそんな時代
 あったん?」

母は頷き、さらに続けた。

実は会いに行くどころか
追っかけをしていたと。
日本中、その人が
いる場所に飛行機に乗っては
会いに行って、
握手してもらっていたと。

おかんの情熱に
ちょっとだけ引く私。
「へえ…なかなかやな…」

当時を思い出しているのか
少女のように頬を染め
はにかむ母。
「かっこよかったんよ〜」

「へ〜誰?
 やっぱ裕次郎とか?」

「いや、猪木」

「え?」

「猪木」

「猪木?」

「アントニオ」

「アントニオ?」

「アントニオ猪木」

あの時の
いや
あん時の
ものすごい衝撃を
私は忘れられません。

お母さんが!

お母さんが!

思ってたんと違う!

色々、違う!


「えっ、猪木?
 猪木に会うために
 お金貯めて日本中
 飛行機で?」

「そう巡業があるから」

「巡業?」

「しかも毎回着物」

「しかも毎回着物!?」

「着物でプロレス見て
 着物で出待ち。
 一人で!」

「うわああ」

ドン引きの私を
察した母は
慌てて
「あ、違うの違うの!
 ゆきちゃん!
 あれやよ?
 昔の猪木さん知らんから
 びっくりしてるんやわ。
 猪木さん、昔は
 アゴ出てなかったんよ?」

うそん!

アゴ出てなかったんやったら
それ猪木さんちゃうんちゃう?

しかし母は真剣に
「ほんまほんま、
 徐々に
 出てきはったのよ」
と言い張る。

うそつけ!

どういう仕組みやねん

というか
別にアゴのことは
ええねん

私としては
ちょっとおかしな人だが
どちらかというと上品タイプの
自分の母親が
プロレスファンで
一人で全国飛び回って
誰かの追っかけしてたことに
びっくりして
若干引いてんねん!
しかもなんで着物やねん…

と言いたかったが
母はすでに
立ち上がって
モハメド・アリとの
対戦を再現していたので
黙るしかなかった。

そして
私はよほどショックだったのか
しばらくは
誰にもそのことを
言えなかったのだった。


今ならね、
昔の猪木さんの映像色々見て
タイガー・ジェット・シンとの
闘いの時なんて
ほんとにかっこいいし
トレードマークのアゴも
シュッととんがってて
強そうだし、
おかんいい趣味やなあ

思うのですが、
多感なあの時期に
自分の母親が
急に
「猪木のおっかけしててん」
「アントニオ」
「飛行機で日本中」
「着物で」
「コブラツイスト!」
「ジャックブリスコ!」
とか言い出したので
ちょっと衝撃的だったのです。

母っぽくないワード満載すぎて。

でも今なら言える。
ステキだと思う。



雛人形を仕舞いながら
そんな母との会話を思い出した、
春の始まり。
posted by 2丁拳銃・修士の嫁 at 10:08 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする